PICK UP 2024.07.31

一般部門 13点、学生部門 11点の受賞作品が決定しました。多数のご応募ありがとうございました。

本賞は、実際に施工された作品が審査対象となる一般部門と、テーマに沿ったデザインを提出する学生部門の二部門で構成され、2年に一度開催しています。今回の学生部門は横浜市にあるアートスペースとカフェを併設した施設、象の鼻テラスのガラス面のデザインを提案して頂きました。
この度、「第23回 CSデザイン賞」の審査会(一般部門5月31日、学生部門6月14日)が行われ、一般部門13点、学生部門11点の受賞作品が決定しました。

一般部門のグランプリは、現代アーティストのLiisaさんによる「明日は遊園地へ行こうね」が選ばれました。マンガの制作法を用いてカッティングシートをスクリーントーンのように重ねて貼る手法の独自性と新たな表現方法の可能性を広げた点が審査員の高い評価を集めました。
学生部門は、「新しい“文化交流”の場を創造するデザイン」のテーマのもと、金賞に白石 水遼さんの「かがやき」が選ばれました。海をモチーフに世代や国境を超えた交流の場である象の鼻パークに輝きを与え続けることをコンセプトにした作品です。

 

〈一般部門 受賞作品〉


【グランプリ】  明日は遊園地へ行こうね
ディレクター/Liisa

マンガの制作法を用いながらも、言葉に頼らないで受け手に「経験」を与える作品を目指してきた。何がマンガたりうるのか、セリフや擬音を欠いたマンガとその物語性の可能性と限界はどこにあるのか――マンガの存立条件そのものも探りながら制作している。100年後にはマンガは美術史における重要なジャンルとして記録されていると予測できるものの、芸術とマンガには今のところ大きな隔たりがある。この歯がゆい状態は双方にとって大きな損失ではないか。逆に言えば、このトピックに探求の照準を合わせることで、漫画とアートもさらに進化させることができるかもしれない。

いまや廃れつつあるスクリーントーンを継続させたいという思いから、普段の制作で商業マンガに使われるインクとスクリーントーンで作品を制作している。「体感的」な経験をもたらす鑑賞では作品の物理的なサイズが肝心で、観客、作品、空間の三つの関係は、名作のひとコマに圧縮された劇性を伴いながら、マンガにはないスケールで融合する。それを可能にするために、今回は市販のスクリーントーンではなく、カッティングシートでトーンを自作した。異なる柄で影やグラデーションを演出する。重ね貼りで濃い部分や明るい部分の表現を分ける。全体的にコラージュ的感覚でカッティングシートを重層的に貼る。これらの手法を通じて、画材としてのカッティングシートの新たな可能性を探求していきたい。

今作に近づくと、連絡通路の真ん中に寝ている子供が呼吸していることがわかる。その隣に、絵の中の子供と同じ誕生日の帽子が落ちている。それは絵とどんなふうに関わっているのだろう。ふと疑問から始まる言葉のない物語。過去と現在、現実空間と架空の世界、静と動、ちょっとした懐かしさと違和感、没入と疎遠。様々な時空を往還しながら多様な解釈を思い浮かべられるインスタレーション作品に挑戦した。

※TOKYO MIDTOWN AWARD 2023 優秀賞 受賞作品

 
グランプリ
・明日は遊園地へ行こうね
準グランプリ
・studio souriant
・大成建設関西支店ビル グリーン・リニューアルZEB
・衝突防止
優秀賞
・Sony Park展 KYOTO
・Constellation.
・静かな詩のように
・ニセコ町役場
・安平町立早来学園
中川ケミカル賞
・100 colors no.43 「100色の記憶」
・GINZA POET-GRAPHY
・相談支援事業所kai
・イトーキ 大阪ショールーム ミーティングスペース

 
 

〈学生部門 受賞作品〉


●横浜市にあるアートスペースとカフェを併設した施設、象の鼻テラスのガラス面のデザイン提案
 テーマ:「新しい“文化交流”の場を創造するデザイン」

【金賞】 かがやき
白石 水遼/多摩美術大学

象の鼻パークは、海岸沿いに位置し、ペリー提督が初めて横浜に上陸した歴史的な場所です。この地は横浜における最初の本格的な波止場として、その後多くの外国船が寄港するようになり、対外貿易や国際交流において重要な役割を担いました。かかる歴史的背景を有する象の鼻パークを、「歴史と未来をつなぐ象徴的空間」とするコンセプトのもと、海をモチーフにしたガラス面のデザインを考えました。海は横浜の発展において極めて重要な要素であり、異文化交流の象徴でもあります。作品名「かがやき」は、海が持つ輝きと交流の意義を強調し、世代や国境を超えた交流の場としての象の鼻パークが永続的に輝きを放つことを表現しています。

 

―展示―
・金賞作品は象の鼻テラスの協力により、(株)中川ケミカル施工のもと8月28日(水)〜10月22日(火)の期間、象の鼻テラスのガラス面に掲出されます。
・10月21日(月)〜 10月22日(火)の期間は象の鼻テラス館内にて学生部門の入選作品11点をまとめたパネル展示を開催予定。
 ●場所:象の鼻テラス (〒231-0002 神奈川県横浜市中区海岸通1-1)
 ●営業時間:10:00〜18:00 (年中無休/入場無料)
 ●主催:象の鼻テラス、株式会社中川ケミカル
 ※展示期間は変更となる場合がございますので、予めご了承ください。

 
金賞
・「かがやき」 白石 水遼/多摩美術大学
銀賞
・「自然の錯覚」 杉本 和優/大阪モード学園
・「HANA」 加藤 花苗、安田 存人/桑沢デザイン研究所
銅賞
・「Shower」 本多 栄亮/明治大学大学院、大橋 真色/東京藝術大学大学院
・「空間中の空間」 張 雅文/國立雲林科技大學
・「まざりあい」 仙田 向日葵/慶應義塾大学
入選
・「SOU-ZOU」 菅原 幸/香川県立高松工芸高等学校
・「ブルーホーミー」 泊 文乃/名古屋モード学園
・「共感を呼ぶ木」 邱 郁晴/國立雲林科技大學
・「会うために動く」 神田 耕匠/多摩美術大学
・「不可抗力」 西川 善/大阪モード学園

 
 

審査員


●応募総数
【一般部門】 148点
【学生部門】 257点
●賞  金
【一般部門】
・グランプリ 1 点/賞金100 万円・トロフィー・賞状
・準グランプリ 3 点/賞金30万円・楯・賞状
・優秀賞 5 点/賞金10 万円・楯・賞状
・中川ケミカル賞 4点/賞金10万円・楯・賞状
【学生部門】
・金賞 1 点/賞金15 万円・賞状
・銀賞 2 点/賞金10 万円・賞状
・銅賞 3 点/賞金 5 万円・賞状
・入選 5 点/賞状
●主  催
株式会社中川ケミカル
●協力
象の鼻テラス

●後  援
NPO法人 日本タイポグラフィ協会/公益社団法人 日本グラフィックデザイン協会
公益社団法人 日本サインデザイン協会/公益社団法人 日本サイン協会
一般社団法人 日本空間デザイン協会/一般社団法人 日本商環境デザイン協会
一般社団法人 日本屋外広告業団体連合会/一般社団法人 日本ディスプレイ業団体連合会(順不同)
本賞を主催する(株)中川ケミカルは、1960年代に「カッティングシート®」という名称をつくり、この装飾用シートを広く紹介してきました。1980 年代、装飾用シートはCIブームなどの影響もあり、飛躍的に普及しました。一方、街の景観と素材の関係に危惧を感じていた弊社は、適切で創造性に優れたデザインを社会で共有する活動が、素材メーカーの急務と考えました。そこで故・勝見勝氏をはじめ、多方面の方々にご協力をいただき、本賞を創設することとなりました。1982年の第1回CSデザイン賞以来、多くのデザイナー・建築家の方々にお力添えをいただいてきました。

 

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